サブ4を達成できる!練習方法・シューズ・レース配分【決定版】

走る事が習慣になり、楽しさが分かってくると次は大会にエントリーするでしょう。

そして、大会に参加するようになると周りの友人や会社の同僚から「ゴールタイムの目標はどのくらい?」「プライベートベストは何分ですか?」などと聞かれます。いままでは完走すれば良い考えていたフルマラソンですが、ゴール時間を意識するようになってきます。

聞かれた時に「次の大会は、サブ4を目指します!」と答えたら、きっと「おー!すごい!頑張ってください」と返ってくるでしょう。

今回は、走る楽しさを知った次の目標「サブ4」についてです。

サブ4とは42.195キロのフルマラソンを4時間以内に走りきったランナーの称号です。私も走り始めた時の目標はサブ4でした。4時間切りを目指して意気込み、スタートして行けるところまで頑張るという無謀な走り方で何度も失敗したことを覚えています。

マラソンは、複数の要素(脚力、心肺、根性)が組み合わされているスポーツなのでバランス良く鍛えていかないと結果は出にくいのです。

私の経験から、どうすれば効率よくサブ4を達成できるのか、お伝えしたいと思います。

マラソンのサブ4とは?

フルマラソンを4時間以内、つまり3時間59分59秒でゴールすれば達成です。

難易度は、マラソン大会参加者の約20%しか達成できないレベルです。意外に少ないと感じられるのではないですか? 一定のペースで4時間走り続けるための走力は強いフィジカルとメンタルが求められ、そうたやすいことではないのです。

グロスとネットの違い

タイムの会話になると「そのタイムはグロス? ネット?」という聞き慣れないキーワードが出てきます。

グロスタイムとはスタートのピストルが鳴った時点から計測がスタートしてゴールまでの合計タイム。ネットタイムはスタートラインを超えた時点からゴールまでの合計になります。大半のレーススタート並び順は過去レースの実績です。

ゴールタイムが4時間あたりだと並び列の中盤より少し前ぐらいだと思います。それでもスタートの合図からスタートラインにたどり着くまでに1~2分かかります。なので、グロスタイムはネットタイムより時間がかかります。

注意しなければならないのは、公認記録として採用されるのはグロスタイムなのです(陸上競技連盟の規則にも記載)。サブ4を狙う場合はグロスタイムでの達成を念頭におかなければなりません。

サブ 4で走るペースはどれくらい?

サブ4を達成するための平均ペースは1キロ“5分41秒”です。

5分41秒で走れば良いと考えるとゆっくりですが、マラソンコースは市街地で行われるため、一定スピードで走ることはできません。起伏があったり、向かい風だったり、エイドステーションで給水によるスピードダウンもあります。

平均ペースはあくまでも結果であり、走る時は5分41秒以上の速さで走らなければなりません。

フル マラソンでサブ 4を達成するために必要な練習量

これからフルマラソンにチャレンジをする場合、過去の運動経験や現時点の体力にもよりますが、一般的に1年間は練習が必要でしょう。

ただし、効率良い練習を行うことで、1年間の練習量を3ヶ月短縮して9ヶ月の練習量で達成できます。

その方法は9ヶ月を3分割し、3ヶ月毎に1度レースに出走し、少しずつタイムを縮めていくのです。具体的には夏、秋、冬に目標レースを決めてステップアップして走力を高めていきます。最終の冬レースでサブ4を達成します。

それぞれのレースは準備期(1ヶ月)、走り込み期(1ヶ月)、仕上げ期(1ヶ月)、合計で3ヶ月で構成します。このやり方だと練習にメリハリができるのと、レース毎に結果がでるので自分の成長具合が実感できモチベーションアップにもなります。

サブ 4に求められる身体能力

ランニング練習というと同じコース、同じスピード、同じ時間を走るランナーがとても多いです。人間の体は同じことを続けていると体が慣れてきて楽に動くようになります。

それは順応するという点では良いことですが、さまざな環境下で走るフルマラソンでは応用が効かない体になってしまいます。レースが行われる時期、天候、気温、自分の体調など応用の連続です。

サブ4はスタートからゴールまで走りきらないと達成できません。そのためには、どんな環境下でも走りきるための脚筋力と体中に酸素を送り続ける高い心肺機能が必要なのです。

①脚筋力向上に必要な練習量

雑誌ランナーズが2012年11月にサブ4を達成したランナーに「サブ4達成のための練習」というテーマでアンケートをとっています。月平均で195キロ、長距離走は20~29キロが1~2回、30キロ走は0.7回という結果でした。目安ですが、この練習量をこなせばサブ4は見えてきます。

②心肺機能を高めるための練習

心肺機能を押し上げるために、心拍数を計測し、練習に活かす方法をオススメします。

最近のランニングウォッチには光学心拍計が搭載されています。心拍数をみるとゼーゼーハーハーの呼吸で心肺機能がしっかりと追い込めているか確認をすることができます。逆に頑張りすぎて心拍を上げすぎている場合は抑える感覚も身につきます。

サブ4狙いでオススメのランニングウォッチ

GARMIN 245 Musicの詳しいポイントについては下記の記事でご紹介しています。

ガーミン245 Musicフォアアスリートを徹底レビュー【22のポイントを解説】

サブ4達成の具体的な練習メニュー

レース3ヶ月前の準備期

サブ4を達成するための土台となる走力を築きます。脚筋力を強くすることは長く走り続けられるようになるとともに、怪我の防止にもなります。また、不整地やスピードを上げて走ることで心肺機能にも刺激を入れていきます。

①クロスカントリー走

芝生や土などの不整地で起伏ある場所を60~90分間走り続けます。

固いアスファルトと違って着地衝撃を柔らかい地面が吸収してくれます。足腰への負担が軽減されて怪我のリスクも少ないです。

一方で不整地のため踏み込んでも力が逃げていくので、ロードよりも体の負荷は高く、脚筋力と心肺機能を同時に高めてくれます。毎週末に行うことをオススメします。

②トレイルランニング

近所の里山トレイルなどを180分間を目安に走ります。走り通すことは必要なく、急な登りは早歩きで構いません。休憩はとらずに動き続けることで、脚筋力の向上と身体が絞りこまれて体重を落とすことにもつながります。週に一度の頻度が推奨です。

③スピード練

平日のどこかで時間を作り、組み入れたい心肺機能を高める練習です。近くに陸上競技場があればベストですが、なければ平坦で止まらずスピードが出せる場所を探してください。400メートルを10~15本、ペースは4分、走り終える度に60秒の完全休憩をとってください。サブ4に求められる心肺機能を鍛えることができます。高まるとスピードをキープしても楽に感じます。

④5000mタイムレース

現時点の走力を確かめることが目的です。5000mを走りきれるスピードで全力を出し尽くします。約25分間、心肺を高い水準で動かし続けることは、脚筋肉の持久力を押し上げることにつながります。5000mのタイムが早くなればサブ4の走力が身についている証明となります。1ヶ月間の最終週に行います。

レース2ヶ月前の走り込み期

土台となる走力をさらに底上げする大切な時期にあたります。築き上げた走力をさらに伸ばすか、下げてしまうかの分岐点。サブ4達成は走り込み期にかかっています。

①峠走

準備期である程度、身についたベースの走力をさらに向上させていきます。40分~60分登り・下り続けられる坂を走ります。登りは苦しい中で脚を動かしつづけることで心肺機能が高まります。下りは着地衝撃が平地より高いので脚筋力アップに有効です。週に1回できればベストです。

②LT走

LT走とは85%を上限としてギリギリの心拍数を維持したペースで走る練習をさします。LT走をすることで、フルマラソンの平均ペースの底上げになります。週に一度60分実施できると良いです。

走り続けてエネルギーの糖質が使われると筋肉に乳酸がたまっていき徐々に筋肉の動きを阻害していきます。たまるスピードは心拍数に影響され、最大の心拍数85%を越えると乳酸は一気に増えてしまいます。

③スピード練

準備期でおこなった距離を伸ばします。1000mを5本、4分30秒ペース。1本1000m走り終わった後は止まらずに200mをジョグでつなぎ、そのまま2本目を走ります。週の平日に組み入れます。

④タイムレース

1ヶ月前の準備期のタイムを上回る目標を設定します。前回のタイムレースはスタミナがついておらず後半の落ち込みがあったはずです。今回はできる限り最後までスピードが落ちないように粘ります。

レース1ヶ月前の仕上げ期

走り込み期で向上した走力を維持することが目的です。また、心肺機能は疲れが取れにくいので、仕上げ期には少し練習量を少なくし、心肺機能を回復させていきます。

ロング走

平日に一回は10キロ走。週末に20~30キロを走ります。レースの1週間前までは練習量は落としても頻度は減らす必要はありません。

レース本番直前の食事

レース3日前ぐらいから白米、うどん、パスタなどの炭水化物の摂取割合を上げていきます。目安ですが全体の食事の中で炭水化物を60%に設定します。

炭水化物は走る時のエネルギーとして筋肉にグリコーゲンとして蓄えられます。水分も細胞の中に蓄えたいので、スポーツドリンクをレース前日に飲んでおきましょう。

レース当日の食事

スタートラインに立った時に空腹でない状態がベストです。体内での消化時間を考えると3時間前に固形物の摂取は終わらせておきたいです。

スタート間近に食べたくなったら、消化の速いバナナやエネルギージェルがオススメです。

サブ4のペース配分

42.195キロを分割して考え、1つ1つを終わらせていき、結果としてフルマラソンを走りきるという捉え方が良いです。分割数はメンタル次第で、皆さんがベストだと考える区分けで良いと思います。

ちなみに、私は5キロ×8本と考え、分割された8本を片付けていくイメージです。

また、分割することでペース配分も戦略的に考えることができます。5キロを28分平均で走ればサブ4を達成することができます。後半型の走りで臨むのならば、5キロ30分ぐらいから入り、徐々にあげて25分ぐらいまで持っていきます。

レース中は、コース上の距離表示ポイントでタイムチェックと心拍数を確認します。あらかじめ計画したタイムスケジュールとズレていないか? ペースに対して心拍数が高すぎないか? チェックします。結果によってペースアップ、ダウンしていきます。

注意点は、スタートしてから1~5キロは渋滞で自分のペースを維持して走ることができない場合が多いです。ペースが遅かったとしても焦らず、準備運動ぐらいの気持ちで臨みます。渋滞の中、ランナーを避けながらスピードアップ、ダウンを繰り返すと想像以上に脚の負担となります。

ペーサーの活用

主要なレースには目標タイムの引っ張り役としてサブ4、サブ3.5、サブ3のペーサーがいます。

ペーサーについて行けば目標達成できるのですが、注意も必要です。ペーサーが一定のペースを維持するイーブンペースかと言えば違います。ゴールタイムの帳尻合わせは30キロ以降に行います。30キロまではペースは乱れていることが多いのです。

なので、ピタッと背中についている必要はなく、ペーサーが視界に入っているぐらいの場所を走っていれば大丈夫です。

レース中の補給

エナジージェルを持って走り、10、20、30、40キロで飲みます。20キロまだは前日までの食事で蓄積したエネルギーがあるので身体が動くかもしれません。

しかし、20キロ以降はエネルギーを補充しないと筋肉を動かす糖質切れ、汗で流れ出てしまうナトリウム不足が症状として現れてきます。

最近のジェルは糖質の補充、汗で失ったナトリウム、疲れを軽減するカフェインが入っているものが多いです。計画的に摂取しましょう。

また、水分補給も大切です。喉は渇いていなくてもエイドステーションで飲むようにします。スポーツドリンクがあれば積極的に手に取りましょう。

エネルギーも水分も身体に吸収されるまでは時間差があります。早め早めの対応が後半の走りに影響してきます。

サブ 4ランナーのシューズ選び

自分にあったシューズに出会えるかどうかも大切です。足型や走り方(フォーム)、走力にマッチしないと力を発揮できません

最近は厚底やゼロドロップ(つま先とカカトの高さが均一)などがトレンドですが、本当に自分にあっているのか確認した上で履くようにしたいです。

シューズは新しい方が性能が高く、使えば使うほどに消耗をしていきます。トレーニング用とレース用に同じシューズを用意したいです。そうすればレース当日、履きなれたいつものシューズなので安心してレースに臨めます。

オススメのランニングシューズ

ナイキのロングセラー「ペガサス」シリーズの36代目。最新モデルは通気孔が増えて快適性と軽量化が向上しました。程良いクッション性も魅力です。

ソールに使われている「BOOSTフォーム」の反発が推進力を生み出し、レース後半のスピード維持のサポートを行います。

クッション性がある厚いソールが着衝衝撃を吸収してくれます。また軽量化もはかられており、バランスの良い一足に仕上がっています。

サブ 4を目指すなら体重を気にする必要がある?

体重を1キロ落とすとタイムが3分速くなる、と言われますがその通りです。体重が軽い方が絶対にフルマラソンでは有利です。お腹周りに脂肪があると重りを持って走っていると同じことです。

スピードが維持できない原因、ヒザや腰への負担がかかり故障につながる場合もあります。

気をつけたいのは、減量するならばレース1ヶ月前までにします。減量はエネルギー不足になるので、練習で疲労した身体を元に戻せない慢性的なエネルギー不足につながります。肝心なレース本番で力を発揮できない悔しい思いをしてしまいます。

まとめ

いかがでしたか。

サブ4はランナーの20%しか達成できない敷居の高さです。称号を手にいれるためには、脚筋力と心肺機能を高めるための練習を定期的に行うことが重要です。

  • サブ4達成のために9ヶ月間を3分割し、3ヶ月毎にレースに出走。夏・秋・冬レースをマイルストーンにする。
  • 3ヶ月間は、準備期・走り込み期・仕上げ期と区分けする。
  • 区分けすることで練習のメリハリができるのでモチベーション維持と成長を実感できる。

①準備期

  • クロスカントリー走
  • トレイルランニング
  • スピード練

②走り込み期

  • 峠走
  • LT走
  • スピード練
  • 5000mタイムレース

③仕上げ期

  • ロング走

しっかりと継続できれば、夏レース、秋レースと出走する度にタイムは良くなっていき、本命の冬レースで見事にサブ4達成です。

ダイエット目的や健康のためのランニングから、自分への挑戦や達成感を得られる楽しさを知ると思います。

そして周りには同じような気持ちで走っている大勢の仲間がいる事にも気づきます。一緒に走ったり、会話を交わすことで交友関係はドンドンと広がっていきます。

そんな魅力を皆さんにも味わっていただきたいです!