【2019年最新版】富士登山競走 徹底攻略レポート 13のポイント 宿泊や練習方法など
日本一の高さを誇る富士山の0合目(770m)から山頂(3711m)まで一気に駆け上がるマラソン大会「富士登山競走」。
あまりにも単純で分かりやすい内容に魅せられて、私は4年連続で出走しています。山頂までの自己ベストは3時間44分です。
今回は下らないレースの「富士登山競走」について私の出走経験を踏まえてお伝えしたいと思います。きっと読んでいただければ次回エントリーを考えるかもしれません。知れば知るほど不思議とワクワクする大会なのです。
それではいってみましょう。
富士登山競走大会の概要
・第一回大会が1948年(昭和28年)7月28日に開催。今年は第72回大会、2019年7月26日(金)に開催予定。
・0合目の770mより少し手前の富士吉田市役所からスタート。
・山頂コース、五合目コースの2つの種目あり。山頂コースを走るためには、五合目コースの基準タイム(2時間20分)を超えることが条件。
・山頂コースは21キロ。標高差は3000m。ゴールは山頂3711mにある富士山頂久須志神社。4時間30分以内のゴールが完走扱い。
・五合目コースは15キロ。標高差は1500m。五合目ゴールは2230mにある特設ゴールゲート。2時間20分以内のゴールが完走扱い。
・優勝者には内閣総理大臣賞が男女それぞれに授与される。
・山頂スタートは朝7時、五合目スタートは朝8時半。
・山頂コースの完走率は40%台。18年は43%。五合目コースの完走率は90%後半。
富士登山競走の特徴
①山頂完走を手にするまで最短1年4ヶ月が必要
初めてのレース参加は五合目コースになります。
見事、基準タイム(2時間20分)をクリアすれば翌年の山頂コースエントリーが可能になります。山頂完走は最短で五合目エントリー日を基点として1年4ヶ月かかることになります。
ちみなに、五合目基準タイムをクリアしてから3年間は山頂エントリーが可能です。
②ロード、トレイル、登山の3つの力が求められます
山頂までのコースは標高により足場が変わります。足場が変わると走り方もスピードも変わるので、対応力が求められます。
③高地で行われるレース
スタート地点の標高は770m。そこから数時間で駆け登っていきます。
五合目コースは2230m、山頂コースは3711m。標高があがるので空気が薄くなります。その中で全力で走る事ができるか試されます。
④制限時間との戦い
スタート時に後方列から走り始めるとスタートゲートまで数分、給水所で立ち止まって数分、急坂で歩いてしまうと数分、渋滞で数分、、、積み重ねると制限時間に間に合わなくなります。
スタート列の前方に並ぶか、何かを我慢しなくてはなりません。目安ですが、馬返しまで五合目コースなら1時間15分以内、山頂コースなら1時間5分以内で行くことが必要です。
⑤下らないコース
スタートして数百メートルは平坦なので気が緩みますが、道路を左折してから下ることはありません。
ただし、斜度は緩急があるので、緩いところでは少し息を整えた方が良いです。
⑥富士登山「競争」ではなく富士登山「競走」
近頃は「きょうそう」と名がつく大会も見かけないですね。
一般的に競争と競走の2つの文字が思い浮かびます。「競争」は相手がいて、順位を争いバチバチやること。「競走」は一定の決められた距離の速さを競うこと。決められた制限時間を意識した速さで指定区間をクリアしていくゲーム性があります。
富士登山競走は毎年、大きなコース変更もないので前回タイムと比較したり、ライバルと自分の持ちタイムと比べたりできます。ゴールタイム=走力(自分の戦闘能力)といえるので、皆燃える訳です。
富士登山競走のコースを徹底解説
五合目コースは前半と後半の2つの区間に分けられます。
そして、山頂コースは五合目コースの前半・後半に加えて、もう一つ登山区間が追加されます。
富士登山競走 五合目コース・前半区間について
距離は9キロ。スタートから浅間神社、中の茶屋、馬返しと斜度がジワリジワリとキツくなっていきます。馬返しは標高は1450m。馬でいける最高地点という意味です。レースでは、斜度があがる中の茶屋から馬返しの区間を歩かずに走り切れるか、がポイントになります。
富士登山競走 五合目コース・後半区間について
距離は6キロ。ロードから一転してトレイルになります。あまりハイカーも通らない、趣のある登山道です。富士山の雪解け水が勢いよく流れ込まないように、登山道には落とし穴のような「浸透桝」や「排水溝」があります。レース中は、ただの障害物でしかありません。
富士登山競走 山頂コース・登山区間について
距離は6キロ。佐藤小屋を抜けると空が開けて山頂が顔を出します。足元もトレイルから砂利になります。踏み込むと足場が崩れ、なかなか前に進むことができず厄介です。そして、標高2700mあたりからは通称「ゴジラの背中」と呼ばれる岩場が登場します。四つん這いで進む事になります。
富士登山競走のエントリー方法
申し込みは、RUNNETになります。
エントリー費用は、山頂は15,000円、五合目は10,000円。
参加人数は、富士山の高さと同じ3776名。うち山頂コースが2500名、五合目コースが1276名です。先着順の超人気レースのため、エントリーの申し込み開始の10分前には、インターネット通信環境が整ったパソコンやスマートフォンでスタンバイした方が良いです。
山頂コースは申込み開始から約20分、五合目コースは約5分で定員に達します。画面をみつめていくら待っても、エントリー画面が開かず、やっと開いた時には「申込終了」が表示されていることも多いです。この時点で競走は始まっていて、0合目関門を突破できずに涙する人も大勢います。
運よく五合目コースのエントリーができた場合は、このチャンスを逃さずに山頂コースのエントリー権をつかみ取りたいところです!
富士登山競走の結果・記録【2018年】
2018年大会は好天に恵まれました。天気が良すぎてスタート地点は22℃を超え、日差しが痛い中でのスタートとなりました。
山頂コースの優勝は、男女ともに2年連続で「五郎谷選手」と「吉住選手」です。
ただし、暑さのために、前年2017年のゴールタイムと比べると二人とも8~10分ほど遅い結果となりました。寒すぎても暑すぎても上手く走れない、とても難しいレースなのです。
山頂コース
男子総合優勝・・・五郎谷 俊 2:39:28
女子総合優勝・・・吉住 友里 3:11:34
五合目コース
男子総合優勝・・・山田 雄喜 1:18:38
女子総合優勝・・・吉田 香織 1:32:38
富士登山競走の交通手段と宿泊情報
電車、バス、車ともにアクセスは良好です。詳しくは公式ページをご確認ください。
宿泊について
宿泊情報に関しても公式ページ内に案内があります。
専用ツアーなので宿泊場所はスタートの吉田市役所に近く、スタート時間に合わせて朝食を用意してくれます。
注意点があります。2018年大会まではゼッケンが事前に自宅に送られ、大会当日にゼッケンをつけてスタートラインに立つことができました。ところが、2019年大会より前日受付となります。ゼッケンは受付でもらうことになります。レース参加が決まったら宿は早めにおさえた方が良いです。
富士登山競走の練習・トレーニング方法
前述しましたがコースは、ロード・トレイル・登山の3つで組まれています。トレーニングも総合的に行う必要があります。下らないコースという点もポイントです。
数ヶ月前
坂道トレーニング
上り坂を走り続ける感覚を身体に覚え込ませます。一般に「峠走」と言われる練習です。山間部の峠道を休まずに1時間ほど走ります。一定のスピードで走り続けることが重要なので、最初は無理のないペースで良いです。
トレッドミル
トレイルと登山のトレーニングです。スポーツジムにあるランニングマシーン「トレッドミル」を使用します。一般的にトレッドミルは斜度調整が可能で、最大で15%まであげられます。体験すればわかりますが15%はキツイです。30分を目標に早歩きできるようにしましょう。
心拍トレーニング
標高が高いところを登り続けるので、心臓への負担が大きいです。ゼーゼーハーハーする高心拍ゾーンで継続して運動ができるようにトレーニングします。スピード練習がオススメです。
例えば、陸上トラックや河川敷などで400m×10本、1000m×5本などです。キツイ練習ですが、定期的にやっておくと効果があります。
1~2ヶ月前
富士登山競走の試走
完走するためのポイントは「高地順応」です。私たちが生活している市街地は海面から100mほど。
富士登山競走はスタート地点でも770mあります。スタートすると標高1000m以上の場所を数時間、高心拍域で走り続けることになります。この時期に試走をしておきましょう。すぐに息があがり、身体が重くなり、場合によっては高山病(頭痛や手足の痺れ)の症状がでるかもしれません。体験をしておいた方が良いです。
富士登山競走の事前準備
3週間前
高心拍でキツイ運動をすることになるので疲れが残る「峠走」などは避けましょう。
ただし、400mダッシュなど心拍をあげるポイント練習は続けても良いです。自分の身体と相談しながら行います。
1週間前
とにかく疲れをためないように努めます。充分な睡眠、1日3食の食事、お酒を飲みすぎない規則正しい生活を心がけます。
ペース配分を考えておく
スタートから馬返しまでの9キロのロード区間を走りぬく事がポイントです。
この区間で、できる限りランナー列の前方に入っておくと、馬返しからの渋滞に巻き込まれにくくなります。ロード区間は道幅が広いので抜かす事ができます。
大会中にペース配分をチェックする方法
スタートから馬返しまでの渋滞をさけるために、突っ込んで走ると間違いなく自滅します。そこで活躍するのがランニングウォッチです。GPS機能で現在位置を把握し、自動計算して走っているペースを表示します。今のスピードが自分にとって速すぎるのか、遅すぎるのかが分かります。
また、最近のランニングウォッチは心拍数を計測できます。練習や試走時の心拍数を覚えておき、レース中のエンジン(心臓)ふかし具合を把握します。一般的に170以上の高心拍で踏ん張れるのは40~60分が限界です。高すぎる数値ならばペースを落として調整します。
ランニングウォッチを持っていないなら、富士登山競走を完走するための大きな武器になるので、用意することをオススメします。
前日の過ごし方
富士登山競走は平日の金曜日に開催です。会社員が参加するには、わざわざ休みを取らねばなりません。2019年から前日受付になったので木曜日も休むことになります。大会主催者が前日受付にしたのは「高度順応」を考えたと思います。
2018年前回大会までは、金曜日の朝に現地入りして、いきなり走る人も多かったと思います(私もその一人です)。前日受付にすることで、少しでも標高に慣れるので大会の安全運営につながる、と考えたのでしょう。
せっかく平日に2日間も休みをとるのであれば、木曜日に現地入りをしてレースに備えましょう。
前日の食事
炭水化物を多めにとります。五合目コースは2~3時間でゴールできるので、レース前にしっかりと食事をとれば、取得したエネルギーで走りきれるはずです。
山頂コースのランナーも同様ですが、六合目の給水所に補給食を食べてエネルギーを追加しましょう。
注意点は食べ過ぎです。上りっぱなしのコースなので体重がそのまま負担になります。私は朝4時におにぎり2つ、1時間前にバナナ1本、3時間前にエネルギージェルを飲み、スタートラインに立ちました。
富士登山競走の服装について
気温は標高が1000mあがるごとに6度下がります。2018年大会は、富士山山頂3.2℃、スタート地点18.6℃(午前6時時点)。温度を知ると服装を悩みますが、スタート地点の温度に合わせて良いと思います。登りが続くので身体は熱くなります。周りの気温が下がっても身体を動かし続けている限りは、寒さは感じないはずです。
ただし、ゴール後は預けた荷物がある競技場まで移動しなければなりません。その時に汗冷えするので上着はあった方が良いです。山頂コースは上まで行ったら自分の脚で下ります。五合目のバス乗り場まで1時間半から2時間は砂利道を下り続けるので上着は必需品です。
大会中に持って走った方がいいもの
日焼け止めクリーム
標高が高いので日焼けに注意です。数時間でも相当に焼けます。日焼け止めクリームを塗りましょう。サングラスもあった方が良いです。
ビニールポンチョ
前日受付でゼッケンと一緒に受け取ります。雨が降った場合の着用以外に、下り時の防寒着としても使えます。他にウィンドブレーカーなどを持つならば不要ですが、なければポケットに入れておきます。
手袋
五合目コースは不要です。山頂コースは2700mからの岩場で使います。手袋が無いと四つん這いで岩をつかむ時に痛いです。軍手で良いので持っておきたいです。
富士登山競走大会結果
結果はランナーズのアップデートで確認できます。レース中も要所要所で脚につけた計測チップで通過タイムが自動的にアップされます。インターネット経由で閲覧できるので遠隔地から応援できます。
完走証は当日手渡しではなく、後日郵送となります。
富士登山競走の参加賞
ゴール後に荷物を受け取る競技場に臨時で構える出店で使えるクーポン券(ビールや焼きそばが買えます)、開催年によって異なりますが地元のお米、過去には携帯ケースや簡易リュックなどがもらえました。
山頂コースをゴールすると憧れの完走Tシヤツが郵送されてきます。デザインは賛否両論ありますが、完走率40%程を考えると大事にしたいTシャツコレクションです。
富士登山競走の質問コーナー
いつから試走できるのですか?
富士山の山開きは7月1日。公に山頂までいけます。ただし、山開きまで待たなくても6月になると雪もなくなるので試走可能です。山小屋はやっていないので補給品は持っていくことになります。
富士登山競走でオススメのシューズは?
ロード用のランニングシューズで良いと思います。馬返しまでのロードは反発のあるソールの方が走りやすいからです。ナイキやアディダス、アシックスなどのブランドが出しているソールが薄すぎないモデルがオススメです。薄いとトレイル区間に入った時、凹凸が少し痛いと思います。
水は持って走った方が良いですか?
いらないと思います。給水所が約3キロごとにあります。水を持って走るランナーもいますが、登りのコースでは重さが負担になります。
応援の方向けの情報
アクセスや応援しやすいオススメはこちらです。
- スタートの吉田市役所(富士急大月線 月江寺駅 徒歩13分)
- 浅間神社の給水所(富士急大月線 富士山駅 徒歩20分)
- 五合目コースのゴール地点(五合目までバス)
- 六合目の安全指導センターの給水所(五合目までバス)
- 山頂コースのゴール地点(自分の脚 ※健脚の方限定)
まとめ
いかがでしたか?
70回以上継続されている富士登山競走が、なぜこれ程の人気なのか分かりましたか?
とにかく「下らないレース」です。そこに魅了された3776名のランナー、エントリー希望者を含めると数万人になります。きっと「競走」という自分への挑戦を求めるのでしょう。
毎年、スタート前に消防団の方が「エイエイオー」と掛け声をかけるとランナーが「エイエイオー」と返します。決して歩くものかと歯を食いしばりながらヨロヨロと走るランナー。ゴール付近でアナウンスされる制限時間終了の案内に悔しがるランナー。
どれもドラマチックな一場面です。YouTubeには山頂コースの制限時間終了アナウンス「10、9、8、7・・・2、1、0、終了!」がアップされています。ぜひ一度ご覧ください。
次回のエントリーは3月中旬です。まずは0合目関門突破に挑戦してみてください。
そして運良く参加権を手にしたならば、その瞬間からあなたのドラマもスタートします!